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本格派戦争ゲーム「戦場のヴァルキュリア」にこだわれ!

戦場のヴァルキュリア
(C)SEGA

戦場のヴァルキュリア

 以前、当サイトでも大きく取り上げた「エターナルアルカディア」。ファンはこれの続編を熱望していたが、傑作でありながら商業的に失敗していたためまだ実現はしていない。そのスタッフが作った新作が「戦場のヴァルキュリア」になる。「エターナルアルカディア」の続編とはいえないが、同じスタッフが作ったものとして、ファンの間ではかなり温かく迎えられた作品だ。しかもセガ純正の完全オリジナル新作。ソフトが売りにくいPS3で無謀にも完全オリジナル、しかもシステムもまったく新しいものを出すというこのチャレンジ精神は忘れ掛けていたセガ本来の姿(常に新しいものを開発する姿)が戻ったといえる。シリーズものに飽きた人には大いに刺激となることは間違いない。

水彩画のごときCANVAS
 ゲームシステムとしてもいまだかつてなかった新システムが二つ採用されている。ひとつは「CANVAS」という特殊な映像。プレイ画面からしてムービーのような画質。ポリゴンだけどそうと意識させない。これはまるで水彩画が動いているような感じである。色合いも線のタッチも、写真で見たときよりも、実際にプレイしてみると本当の美しさに驚かされる。30年代風の衣装デザインも秀逸。(主人公ウェルキンの動きが特撮ヒーローみたいでちょっと笑えるけど、アリシア、ロージーは無茶苦茶可愛いぞ)

かつてない新システムBLiTZ
 もうひとつは「BLiTZ」。これはアクションとシミュレーションを同時進行にしたものである。自分が操作している間も敵は銃撃してくるが、反射神経を必要とするものではなく、どう動かすのかその判断力を問われるアクションである。「メタルギアソリッド」よろしく相手に見つからないように匍匐(ほふく)したり、地雷を避けて歩いたり、自分で操作して行動を選択することで、まるでその場の戦場にいるかのように錯覚させられる。地雷など目視できるのに、油断してるとうっかり踏んでしまう。曲がり角を曲がったら敵が隠れていて不意打ちをくらったり、流れ弾も飛んで来る。こんな感覚は他のシミュレーションにはない。同スタッフは「サクラ大戦」も手掛けているが、感覚は割とこれに近く、さらにアクション性、シミュレーション性をアップさせた感じだ。「サクラ大戦」と大きく異なるのは後ろに戻っても行動したことになることと、敵が何人いるのかどこに隠れているのかわからないこと。その点からして上から見下ろすようなシミュレーションとはまったく異なり、兵士の視点を大切にしていることがわかる。このシステムは読むより体験してみるのが良い。すごいシステムだ。まったく新しいゲームの誕生である。

スムーズなストーリー展開
 アドベンチャーゲームみたいな画面で進行していく「ブックモード」は謎解きもなく一方通行型の展開である。そのためこの手のゲームにありがちな「お遣いをやらされている感」は皆無。ストーリーに関しては見るだけなので至ってスムーズ。以前見たストーリーはいつでも再確認ができるなど、ユーザビリティにも配慮している。

 ストーリーは本格的な戦争ロマン仕立て。すべての戦闘はストーリーありきで、ただ戦闘が次々と繰り返されるのではなく、ストーリーの動機があって戦闘は開始される。そこがシミュレーションゲームが苦手な人でも、のめりこめるきっかけとなる。長い長い戦争を開戦から終戦まで体感することで、壮大な大河ドラマを見たような達成感と感動を覚えることだろう。ストーリーの展開、登場人物の立ち位置も「エターナルアルカディア」に近く、ファンにとってはニヤリとくるものになっている。

6タイプの兵士たちを使い分ける醍醐味
 「アドバンスド大戦略」のような生粋の戦争シミュレーションだが、 敵の集中砲火のアルゴリズムといい、一度戦死したキャラは二度と戦えないことから「ゲイングランド」にも通じるものを感じる。

 兵士の種類は6タイプ。戦車を動かす隊長、歩行距離が長く、隠れている敵を探すのが得意な偵察兵、攻撃力と防御力に長け対人戦に強い突撃兵、重たいロケット弾を抱える対戦車兵、地雷を除去したり弾を補給したり戦車を修理する支援兵、遠くの敵を狙い打つ狙撃兵。それぞれに長所短所があり絶妙のバランス。この6つのタイプを使い分けて戦術を練ることがこのゲームの醍醐味。

シミュレーションゲームとしての奥深さ
 かなりしっかりと作りこまれたシミュレーションゲームなので、難易度は高めである。何度も敗戦を経験することだろう。しかし一度敗戦しても、その反省点を考慮して戦えば必ず勝算はみえてくる。シミュレーションゲームが苦手な人でも大丈夫。もちろん、シミュレーションゲームマニアのためにHARDモードも用意されており、マニアにも納得のいく戦術ゲームを楽しめるようになっている。

 最初に誰を出撃させるかの判断も面白いが、もっと面白いのは1ターンで限られた行動回数をどのように振り分けて戦うか。行動回数が残り少なくなって来ると、その判断が戦況に大きく左右するから面白い。同じキャラを何度も動かすこともできるが、2回目3回目で次第に移動可能な距離が減っていくので、駆け引き的な要素が強くなってくる。強力な戦車にも唯一弱点があるため、弱点をつけば一気に形勢逆転ともなりえる。一回の戦闘が2時間を超えることもあり長丁場となるが(セーブはいつでも可能)、自分の戦術で勝利を掴んだときの感動はひとしお。詰め将棋のように、複数人の歩兵をいかに操作して敵を包囲するかが勝利の決め手だが、戦車を盾にして戦うトリッキーな戦術を駆使してみたり、敵が来るのを待ち伏せして迎撃したり、敵リーダーを一人また一人と着実に消していきながら、作戦がとんとん拍子にうまくいって、少ないターンでクリアしたりすると、この上ない快感が得られる。ここまでよくできているのだから、欲を言えばネットワークで対人戦も実現して欲しかった。

 経験値を積み、しだいに強くなっていくところの実感が得られるところはRPGにも通じる。クリア後レベルを維持しての2周目ではそれまで苦戦していた戦闘がぐっと簡単に感じられるようになっていて、偵察兵の切り込みだけでクリアできたり、評価Sが取りやすくなっており、これもまた違う意味でハマらせる。ぜひオールSを狙っていただきたい。

生き生きとした登場人物たち
 多くの人物が登場するが、一人一人に個性があるところも面白く、やはり「エターナルアルカディア」のスタッフだなぁと思わせる。戦闘中は「サクラ大戦」のように特殊技能(ポテンシャル)が発動したり見せ場も多い。どうしても好きなキャラばかり戦わせてしまいがちだが、その分死亡する確率も増す。渋い鷹の目スナイパーのツェザーリ、上も下もまとめて巨砲一発のヤンなど、どのキャラも使い込んでいくうちに愛着が深まるが、好きになるほど戦死させまいと守りたくなり、そこがこのゲームののめり込み要素のひとつになっている。クリア後、生存した兵士の「後日談」もなかなか読ませる。

 特筆すべきは戦闘中に時々聞こえてくる無線の声。「対戦車兵は弾切れに注意するように」「今日は僕のラッキーデーなんだ」「足をやられた」「この戦争が終わったら農園を開こうと思ってるんだ」等々、無線の声が聞こえてくる。戦闘に関する助言もあれば、ただのぼやき声もある。中には敵味方関係なく兵士一人一人に人並みの家庭と生活があることをしみじみと感じさせる声もあった。

 ちなみに、出て来る漢字の多くにはふりがなはふらていない。見た目とは裏腹に大人向けに作られているかなり硬派な戦争ゲームだ。Amazonのカスタマーレビューを見てもその賞賛ぶりはよくわかる。男なら絶対に買いだ。